過去記事を書き直しました。坂元脚本のドラマお好きな方はぜひ。
「それでも、生きてゆく」 を観終わりました。
去年観た「カルテット」、随分前に観た「Woman」。去年教えて頂いて読んだ「往復書簡 初恋と不倫」。坂元裕二という脚本家のドラマに惹かれるんだとわかったときに友人にそれを伝えたら、「それでも、生きてゆく」を観てほしいなって随分前に言われてたんですが、毎期のドラマを追うだけでいっぱいいっぱいで手を付けられずにいました。
先週「anone」という坂元裕二作のドラマの第一回目を観ました。相変わらず台詞やプロットが坂元脚本らしくてはぁぁぁぁぁって思いました。で、終わった後に、「それでも」を観なきゃ、と思いました。
ここまで坂元脚本に惹かれるのであれば、これはマストだろう、と。
そこから。今日最終話まで来ました。3ヶ月このドラマを観続けるのと、3日間で一気に観ることの違いはあるのかな。うん、あるのかもしれない.。がーっと観るのもきついけれども、3ヶ月ずっとこのドラマのことをちらちら考えながら次回を待ち続けるのも相当苦しいことのように思う。
それくらい重い作品でした。
ある事件によって悲しみを背負った男女の出会いをきっかけに、それまで時間の止まっていた家族たちが悲劇を乗り越え、明日への希望を見出そうと懸命に生きる姿を描く作品。
事件そのものがほんとに悲惨で哀しくて、しょっぱなから観るのを止めようかという思いにかられます。別にわざわざこのように悲しいドラマを選択しなくたって別に他にも観るべきものはあるじゃないか、と。
でも、それを超える要素が有り余るほどあるんです。
隅々にまでプロットが張り巡らされていて、
事件の加害者家族と被害者家族が出会ってしまって、一生懸命で、伝えたいことを抱えながら伝えられなくて、ふたりとも優しくて傷ついてそれでも生きてやっていこうと、震える思いを言葉で、そして言葉によらない空気で見せてくれたドラマでした。逃げてしまいたいけど逃げずにいた、悲しい悲しいドラマでした。
救いがないか?
そんなことはないのです。そんなことないのがほんとに私には救いでした。
以前に見た「マンチェスター・バイ・ザ・シー」という映画で、過去に取り返しのつかない過ちを犯してしまった主人公を思い出しました。
人には乗り越えられないこともある。その心情を丁寧に描いた映画でした。でも、最後にすこおし光も見えて…
「生きてゆく」見終わった後、ああ、タイトルそのままなんだなぁと、坂元さんが言いたいのはこのタイトルに詰まってるんだなぁと。マンチェスター、の主人公も後悔や悲しみや自責を抱えながら生きていくのです。
坂元さんの書くドラマで思うのは、そこに描かれる家族の形の過酷さ残酷さです。時には血が繋がっていて、或いは半分繋がっていて、または繋がっていなかったりもして、Womanでもカルテットでもanoneでもぎゅうっと心の臓が掴まれて苦しくなる気持ちを味わいました。
Womanの小春の夫の死は半分血の繋がった妹が引き起こしたもの。
カルテットのすずめちゃんの実の父親は娘を超能力少女に仕立ててお金儲け。
anoneのハリカは両親から病気が弟にうつったら困ると病院に入れられ、弟が亡くなった後両親は自殺。
辛い辛いおはなしはできるだけ近寄りたくないと思いつつ、それでも、ぐわんぐわんと頭を揺さぶられながら全て観てよかったと思うのは何故なんだろう。
たぶん。
家族という幻想や呪いを打ち破ってくれるからだろうと、大雑把に言えばそうなるのかもしれない。
きついのであれば、そこにしがみついて悲しんでいなくてもいいって、血の繋がりが全てを決める世界から違うところへも行けるよ、と言われているように感じるからかもしれない。
どこかで凝り固まってずっと抱え続けてきたどこにも持っていけないモノを、捨ててもいいんだよと言われて体が緩むからかもしれない。
自分を肯定されるからかもしれない。
坂元さんが本を出すと聞きました。
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